何度めの北海道ツーリングになるのだろう。
暑い夏の季節にしか長い休暇は取れないサラリーマン人生。
バイクでの炎天下は、かなりきつい。だから、涼しい北海道を走るしかない。
そんなわけで、夏のツーリングはどうしても北海道になる。
9回目だろうか、10回目だろうか。

北海道も、いろいろな場所を訪ね、かなり走り尽くした感がある。
昨年の北海道は、スポスタを買ってから初めてのツーリングだったから、
もう一度宗谷岬に行こうというテーマがあった。
しかし今回、これといったテーマが見つからない。
まあいいや、お馴染みの場所、お気に入りの場所に行ってみよう、
ということで、「お馴染みツー」ということになった。

■コースは、どうでもいいや。こだわるのは興部。

何度も行っている北海道だから、不安は全く感じない。すべてが今までの旅の中で経験されているので、まあ出掛けさえすれば何とかなるという自信がある。コースなど決めなくてもいいのだけれど、その日の宿が決まっていないとなると何となく落ち着かないので、一応コースだけは決めた。
「お馴染みツー」ということであれば、まず美味しいものをもう一度食べようということになる。そこでまず、留萌の寿司屋、そして池田のカニ。この二つは絶対。苫小牧から留萌へ。そして今回どうしても外せない興部へ。興部はつい先日まで会社の同僚だった女性が結婚して、なんと北海道の北のはずれ興部に住んでいるのだ。それで会いに行くことになっていた。そこから、花咲ガニの根室へ。そして池田に入り、最後は千歳当たりで泊まろうというコースになった。行きの日のフェリーと帰りのフェリーを入れれば、7泊8日の旅になる。
いつも通り、次々とビジネスホテルに予約を入れる。夏休みを少し過ぎた時期のためか、どこも順調に予約が取れた。さすがに興部にはビジネスホテルが見当たらず、紋別の観光ホテルに泊まることになる。フェリーの予約も何とか取れて、出発の1カ月前には、準備がすっかり整ってしまった。

考えてみれば、春と夏の年二回、ここ10年ほどは必ずロングツーリングに出かけている。その手順もすっかり出来上がっていて、冒険的な意味合いは全く感じない。それでも旅は楽しみで、計画を立てて、実行してゆく過程は、とてもとても楽しいのだ。行く場所が一度行ったことがあるだけで、その安心感もケタ外れて大きくなる。北海度は、すでに第二の故郷になっている感じさえする。安心の北海道、安心のコース。まあのんびり走ってこようと思っていたのだが、現実はそれほど甘くなかった。まず、留萌の寿司屋がなくなっていたことが判明。当日寿司屋の予約を取ろうとすると、その番号は使われていないとのテープが流れる。予約したホテルに聞いてみると札幌に移転したとのこと。となると・・・留萌に行く必要なんてないではないか。むしろ札幌に行かなくては。そんなわけで、札幌のその店を探し出し、店を予約して、ホテルも札幌に取り直した。
さて、安心して出発を待つばかりだったが、出発の2日ほど前から状況は刻々と変化していった。またまた台風だ。太平洋をぐんぐん北上する台風14号。出発のその日に上陸はしないものの関東・東北に最接近しそうなコースを辿っている。これでは、最悪フェリーが欠航となる。たとえ出発しても激しい揺れは免れない。春に新門司から、東京までフェリーに乗った時、やはり台風の影響で激しく揺れた。一晩中、上下に繰り返し登り、叩きつけられる。これは拷問に近かった。もう二度と揺れるフェリーには乗るまいと固く誓ったのだ。それが今回もまたその危険にさらされる。予定通り仙台からフェリーに乗れば、間違いなく台風が過ぎた後の海を航海し、激しく揺れて後悔することになりそうだ。出発の2日前に、それを避けるため一大決心をした。出発の日は仙台からフェリーに乗るのはやめ、八戸まで一気に走る。そして八戸で一泊する間に、台風をやり過ごす。翌日八戸から苫小牧までのフェリーに乗り、夕方には北海道に入るという計画だ。もともと二日目は留萌を予定していたが、札幌に変更になったため、苫小牧夕方着でも夕食はのんびり札幌で食べられる。かえって好都合ということになった。ただ東京~八戸は680kmあまり、時間にするとたっぷり8時間はかかるだろう。朝8時に出ても、着くのは夕方4時。途中休憩も含めれば、9時間から9時間半。なるべく朝早く出なければならない。
仙台苫小牧のフェリーをキャンセルし、八戸苫小牧を取り直す。宿も何とか八戸に見つけ、出発間際までバタバタして、前日に荷物などの準備を整え、酒を飲んで早寝し、6時半には起きて、8時には、いよいよ出発までこぎつけた。

■スポスタ長距離仕様は、大成功

早いものでスポスタを買ってまる一年になる。その間二度目の北海道だ。そのほかにも何度かかなりの長距離に使っている。しかしまあ、今回の八戸が最も長いのではあるまいか。長く走ることは、精神的には苦痛ではない。むしろ楽しい。景色も変化しない、途中立ち寄る場所も限られる、高速をただ走っているだけで楽しいのだろうか、と感じたこともある。高速はつまらないから、下道を走るという人たちもいる。なるほどそうだなあ、と感じた時もあった。それがスポスタに変えてからかどうかはよく覚えていないのだが、ともかくバイクに跨って走っているだけで楽しいと感じるようになっている。高速であろうと、下道であろうと、景色が変化しなくとも、途中に立ち寄る場所がなくとも、ともかくバイクで走っていることが本質的にうれしく、楽しいとつくづく感じている。だから長距離は、大歓迎なのだ。ただ、精神的には大歓迎しても、肉体的に歓迎できない場合がある。スポスタの大きく立ち上がった純製のハンドルを見たとき、これは長距離では疲れるだろうと直感した。少しだけ試乗した時も、そのシートの硬さに長距離は無理と確信した。それで、納品されたスポスタはずいぶんと高かったが長距離仕様に変更したのだ。まずハンドルを狭く、低いものに変えた。これは適度に前傾姿勢をとれることを求めたのだ。そしてシートは、シート高が多少高くなっても、柔らかく大きいものに変えた。シートだけで、5万円以上もした。家で家族で使っているソファーでさえ3万円くらいなものなのに、たかが小さなバイクのシートに5万円はかなり勇気が必要だった。そして、ウィンドシールドを採用した。ハンドルとの関係がうまくいかず、純製のウィンドシールドは使えなかったし、あまり好きな形ではないので、社外品を採用した。そして、グリップカバー。これは、防寒でも風除けでもなく、雨よけなのだ。あるとないでは、グローブに当たる雨の量が全く違う。さらにハンドルを狭くしたおかげで、バックミラーがまるで用を足さなくなった。対策として、ひとつのバックミラーに二つの鏡が付いているワイドビジョンのバックミラーを付けた。まあ、まだまだ他にも改造点は多々あるのだが、車載の工夫を除いて、長距離用となればそんなものか。(このあたりは、HPの「スポスタ・カスタム&インプレッション」が詳しい。)その効果もあって、ライディングのポジションは適度に前傾。そのおかげで、体重はおしりの最下部だけに集中せず、お尻、太もも、足に分散される。長時間乗っていて、いわゆる殿様座りのバイクは極度にお尻が痛くなる。少し休んでも、また乗り始めるとすぐに痛くなる。そんな苦しみから解放されるのだ。

出発後、大した渋滞もなく、東北高速に突入。あとはひたすら北を向いて走る。まあ、仙台あたりで半分だから、あまり気負わず、適度なスピードで淡々と走る。走っていれば、いずれつくだろうぐらいの感じだ。高速が混んでいるときは、早いクルマの後を追って中央側を走る。左車線が空いたらクルマの列を抜け、一人の走りになる。間違っても、走っているクルマの間をすり抜けることはしない。そんなことして何時間も走っていたら精神的に疲れるばかりだ。気持ちを楽に、楽しんで走るのがいい。
さて、現在東京から北海道に上陸するには、いくつかの方法がある。いろいろな方法を検討して、今のところ仙台からフェリーを選んでいるのだが、その大きな理由は北海道への上陸時間の問題だ。苫小牧に着くフェリーには、大洗発、仙台発、八戸発とがある。あとは新潟から小樽というフェリーもある。もちろん青森から函館、大間から函館という手もあるがこれは別と考え。
フェリー一覧
苫小牧着の便 仙台/名古屋発 太平洋フェリー 仙台発19:40-11:00
  大洗発 商船三井フェリー 18:30-13:30 01:45-19:45
  秋田/新潟/敦賀発 新日本海フェリー 23:30-17:20苫小牧
  八戸発 川崎近海フェリー 8:45-16:00/13:00-22:00/17:30-01:30/22:00-07:00
小樽着の便 新潟/舞鶴 新日本海フェリー 10:30-04:30小樽
とこんな感じになる。
つまり、大洗からのフェリーだと、東京からは楽だが、早い便でも午後の到着。夜中1時45分に出発で朝到着ということになる。新潟からだと、小樽に朝4時30分に着いてしまう。苫小牧だと、夕方。着いてからの移動を考えると、午前中に着くのは仙台発ということになる。到着日の予定次第だが、小樽の朝4時半も何だかつらそうだ。八戸は、苦労して長距離を走っても、翌日一番の便でも夕方4時着だ。その日22時の便に乗って、翌日朝7時着は魅力的だが、まあハードな旅になる。
そんなわけで、背に腹は代えられない理由から八戸発を選ぶことになったのだが、八戸に一泊して翌朝フェリーに乗ると、昼間まる一日が船の上ということになり、仙台便より結局は半日遅く着くことになる。どうせ八戸便を使うなら、22時の便で朝7時に着く方が一日が有効だ。朝7時に着けば、その日のうちに稚内までだって行けそうだ。次回からはそんな計画もあるよなあ、とおもいつつ、つくづく台風を恨んだ。たまたま今回は、2日目が札幌泊なので都合は良かったが、短い夏休みだから、昼の時間は大切に、動ける時間にしたいものだ。
まあ、なんとか八戸の宿も取れていることから、最悪夜までに着けばいいやなどと思ってはいたが、盛岡で3時すぎになると、一体何時に着けるのかと少し不安になった。まだ200キロ以上あるのかと思うと、やはり遠いなあと実感する。5時近く八戸道に入って、少し暗くなりはじめ、クルマもライトをつけて走るようになると、さすがのバイク好きも早く降りてビールが飲みたくなる。一戸、二戸とだんだん数が上がり、七戸になるともうすぐだと感じる。高速を降りてからしばらくは、まだ全身に高速の感覚が残っていて、一般道のクルマがまるでスローモーションのように見える。足を着く感覚も忘れていて、信号の旅に違和感を感じる。すっかり夕方になった八戸の町に着くと、一に度来た場所ではあるが、案の定カーナビがあるにもかかわらず、最後のところで迷ってしまう。なんどかアプローチを繰り返し、
「なんだ、あの道を曲がれと言っているのか」という道を発見して、無事にホテルに到着した。
ホテルは「ビジネスインフジタ」。なんともローカルな感じだ。2日前に予約して空いていたのだら、それは期待してはならない。風呂があって、暖かいベッドで寝られるだけでも幸せなのだ。それにしても予想通りのホテル???だった。1泊4,200円という格安だから、なおさら文句のいいようがない。古くからあるビジネスホテル、昔ながらのビジネスホテル。まあ、よく言ってそんな感じだ。でもそうしたビジネスホテルによくある感じで、ホテルの人は優しかった。
「どっか軽く飲めて、八戸のおいしいものが食べられるところってありますか?」と聞くと、実に丁寧に教えてくれる。多少疲れているので、あまり遠くは嫌だと言うと、
「すぐ角を曲がったところに居酒屋があります。あっでも今日は日曜日か。やってるかなあ」。まあ実に親切だ。ともかくそこに歩いて行ってみる。案の定休み。もう一度戻って、別の店を聞く。今度は中華料理だそうだ。ちょっと方向が違う。ビールが飲めればいいか、と言うつもりで行ってみる。また、休み。もういいや、自分で捜そう。トコトコ当てもなく歩く。思わずかなり広いメインストリートにぶつかると、左右はチェーンの居酒屋街。初めからここを教えろよ、と多少切れるが、めげずにその一軒へ。ビール、つまみ、日本酒、つまみとまあまあ満足して、値段を聞いたら3,000円もいかない。何だかとても嬉しくなって、またまたホテルに向かった。