今回で、4回目となる北海道。
過去3回で、北海道の海岸沿いはほぼ走った。
ところが、函館を中心にその東西は、走ってない。
確かに、函館は玄関として通過するものの、
その周辺より北を目指すためか、なかなか走る機会がなかった。
今回は、走り残した海岸沿いを走ろうと計画した。
たいした距離にはならないことから、美味いものを食べるをテーマにした。


■計画と現実
4回目ともなると、不安は全くと言っていいほどない。東北道も、フェリーも、北海道自体も、行けばなんとかなると自信たっぷりだ。そして今回は、北には登らず、南北海道で、すべてが終わり、最後の2日間は東北を走って帰るつもりだった。どちらかと言えば、八戸から仙台までのリアス式海岸に沿って走るのが旅のメインイベントのような気がしていた。走り残した北海道の海岸線を走ったら、さっさと東北へ向かうつもりだった。ところが、見事に当てが外れた。出発の前から心配していた台風18号が、見事に北海道に上陸したのだ。しかも、北海道から青森に渡ろうと予定していたその日に。おかげで、後半の予定は見事に崩れた。楽しみだった、北海道走り残しも半分走っただけ。リアス式海岸は、完全にお預けとなってしまった。でも、各地で色々な人に会い、美味しいものを食べ、1週間の夏休みとしては、バイクと暮らせる幸せを十分に味わえるものだった。行けなかった場所は、また行くという楽しみになる。また行く理由ができたと思えばいい。無事に帰って来られて、まずは大成功なのだ。そして考えてみれば、今回のテーマだった「美味しい物を食べる」は、すべて計画通りに実行できた。一日に走る距離をそんなに長くせず、きちんとその場その場のいいものを味会う。今までできなかったかった走り方がようやくできるようになった。そして何より、会いたかったecozyさん、カオリさん、そしてゲールさんとも会えた。旅は色々ハプニングが起こるけど、何が起こっても楽しい物だ。そして、その一つひとつが思い出だ。

■1日目 東京〜仙台。太平洋フェリー(仙台〜苫小牧)
仙台までは、もう何度も行っている。慣れた、とまでは言えないけど、あまり遠いという気がしない。去年の北海道もこのコースだったし、春に松島まで、夏に会津まで行っているので、何となく馴染みのある道で、気分的にもとても楽だ。東北自動車道は、基本的に交通量も少なく、道も整っている。走りやすい高速だ。高速自体より、むしろ高速に乗るまでが、かなり疲れてしまう。土曜日の都心は、かなり混む。環8がとてもひどい。だから遠回りでも環7経由で行く。豊玉から、目白通り、谷原を抜けて、外環だ。外環に乗ってしまえば、東北道までは一直線。あれ、もう東北道かというくらい近く感じる。東北道の3車線は、走りやすいし気持ちいい。気分を長距離モードに切り替えて、無理の8割くらいの力で走る。あまり何も考えない。そう、淡々と走り続けるのだ。「これから一時間は、何も考えずに走ろう」と思ったりする。意識がなければ、ワープしている感覚だ。まず宇都宮までは無心でと走り続ける。フェリーは、20時発なので、高速道路ばかり370キロほどの道のりなら、6時間もあれば楽に到着できる。平均時速が60キロ。高速に乗るまで1時間以上かかってしまうことを考えれば、あとは、給油と昼飯の時間。どんなにのんびりしていても、これだけの時間があれば、どんな運転でも着いてしまう。20時がフェリーの出航の時間とはいえ、さすがにぎりぎりの時間に行くわけではない。フェリーの受付、乗船は意外に早く、出発2時間前の18時には、受付が始まり、19時にはバイクの横で待機させられる。だから目標は18時着だ。よっぽどの事故でもない限り楽々着けるというわけだ。
今回から、カーナビをDVDに変えた。何度か使っているが、まだ何となく慣れない。不思議なもので、やっぱりCDに戻そうかなどとも考えた。しかし使っているうちに慣れるだろうと、今回もDVDを持ってきた。いくつかの不安があって、それが完全に解消されていない。夏の昼間、温度があまりに上がりすぎるとDVDが動かなくなる。真夏のツーリングで経験した。結局タンクバックが風通しが悪く、熱がこもるのが原因で、ちょうどカーナビの裏側に隙間が明くように工夫し、走行中はタンクバックのファスナーを10センチほど開けるようにした。気持ちの問題程度だが、あまり暑くなかったことも幸いして、止まることなくナビケーションしてくれた。それと、目的地に近づくと、わりと早めに案内を中止してしまう。「これからだぞ」と言うときに終わってしまうのだ。これについては、細部まで案内する、と言うモードがあってこれをオンにすることで、解決するのだが、地図の縮尺が自動で大きくならず、縮尺を変えなくてはならない。バイクの場合、走りながら操作はできないので、とても困る。こんなこともあったが、使っているうちに慣れてなんとかなると思い、こちらにしたのだ。DVDの良いところもたくさんある。何といっても情報量が豊富だから、車線の変更まで案内してくれる。高速の分岐なども凄く分かりやすい。検索も早いので、道を間違えたときのリルートも瞬時にやってくれる。このいいところは、やはりCDでは勝てない魅力なのだ。

もうひとつ今回からの新しいものは、マフラーだ。ずっと考えていて、必要がないだろうと交換しないままになっていたマフラー。必要がないと言うより、純正のマフラーから、市販に変えるとツーリング用のサイドバックが使えなくなる不便さが、交換をずっと躊躇させていた。同じX4で、岡山のyassさんは、今回私も交換した「モリワキ」を着けていた。サイドバックも使っていた。交換するとなるとこれしかないと思っていた。しかし、どうせなら、ワイバンなどの性能重視の格好いいマフラーと思っていたので、思い切れなかったのだ。ただ、このマフラーにすることで、車重が8kgは軽くなる。取り回しがずいぶん楽になると聞かされていた。これは凄い魅力で、昨年の北海道で、調子よく橋を渡ってしまって、引き返せなくなった事件を思い出すと、少しでも軽くなることは有り難かった。ちょっとかっこは悪いけど、できることはすべてやるの精神で、交換に踏み切ったのだ。
この新しいふたつの新兵器を持っての高速ツーリングだったが、両方ともそれなりに満足だった。特にマフラーは、取り回しで楽になったかと言えば、体感できるほどではなかった。そもそも荷物が30キロ以上あり、バイクの重さも250キロを超えているのだから、8キロ減っても感じない。しかし、走りは明らかに違った。一言で言うと「軽くなった」のだ。アクセルのレスポンスが、早くなったと言うより、軽くなっている。バイクの動きも軽く感じる。取り回しの軽さよりレスボンスの軽さが明らかに違った。そして、いままで、両側から聞こえてきた排気音が、右側でしか聞こえない。しかも、今までの音より低く、力強い。他のバイクが近づいてきてるのかと、バックミラーを何度も見てしまった。「なんだ俺か」と一人ニヤニヤしていたのだ。

■ゲールさんのお土産は、お饅頭。
仙台港に着くと、ゲールさんが待っていてくれた。ちょっと恥ずかしいけど、すごく嬉しい。バイクを止めて、しばらくゲールさんと話していた。その後乗船手続きをして、後は乗るだけ。ゲールさんとは、この旅の最後にも会うことになっている。最終日を仙台泊に予定しているので、その時ゆっくりと飲める。だから、気が楽で、ゲールさんもお土産の袋を私に渡すとさっさと帰ってしまった。「じゃあ、また」が何日日後なのだ。来ていただいただけでも有り難いので、贅沢は言えない。乗船まで、バイクの回りをウロウロしていた。フェリーには、もう何度も乗っているので、いろいろと要領が分かってきた。肩から掛けられる大きめのビニールバックに一晩分の着替えと、タオル、サンダルを入れ、貴重品はすべてタンクバック。乗船の時にビニールバックを肩に掛け、乗船すれば、ヘルメットとタンクバックを持てば、すぐにバイクから離れられる。そんな準備をして、乗船を迎えるのだが、あいにくかなり強い雨が降っていた。準備もそそくさと雨宿りをしていると、外のスピーカーから乗船準備を伝えられた。今回も先頭だ。先頭は辛い。どこにどういう角度で止めればいいのかの見本がない。案の定、ここに止めてと言われたところに止めると、「もうちょっと真っ直ぐで、右」などと言われてしまう。仕方なく降りてバック。切り返して、バイクを止める。いやいや、格好悪い。でも、いいや。なんとか止まれたのだから。ここからは、きちんと準備しているので、かっこよく早い。ヘルメットとタンクバックを持って、颯爽とデッキを去る。とおもったら、タンクバックにカーナビのコードがまだついていて、タンクバックが取れなかった。またまた、かっこ悪、なのだ。

■フェリーの中。凄く狭い場所にぎっしりと止められる。大型トラックのすぐ隣で、これが出ないと出せない。つまり、到着後は一番最後になると言うことか。この日は、20台ほどのバイクだった。みんな何となくウキウキ。 ■A寝台の二段ベット、上部。エアコン、テレビ、照明がついていて、シャッター状の扉が閉まる。二段ベットだが、上は登るのがちょっと大変。でも、上からの音がない。下は出入りが楽。でも、上の音が気になる。一長一短。
■フェリーのレストラン。すべてバイキング。少ない乗組員でやるにはバイキングが一番。夕食1800円だったかな。びーるが500円もしていたので、外の自動販売機で買って持ち込んだ。バレたら怒られるのかなあ。かなり混んでいた。 ■退屈なフェリーの旅を癒してくれるショータイム。星川美麗さんのショーだった。カラオケで、堂々と歌う姿は、潔さを感じたぞ。曲は「夜のフェリーポート」。いい感じだった。買わなかった。

フェリーの中の退屈な時間が、実は好きだ。日常の中ではほとんどあり得ない。何もできない、何もしない。テレビもやがて放送は映らなくなり、船内だけの映画が流れる。何本かあるが、すべてみた物ばかり。ショータイムも見に行ったが、なんだか見せ物みたい。でも、これがいいのだ。のんびりと言うより、まったりなのだ。これで、明日起きたら北海道だ。そのことがとても嬉しい。ゲールさんからいただいたお土産。去年は食べきれないほどの笹蒲鉾だった。食べきれず、持ち歩き、途中で旅館の人にあげてしまった。正直にそのことを話したら、今年は「痛まない物」ということで、饅頭だった。甘い物は苦手なので、あまり手が伸びず、東京まで持って帰ったことは、秘密にしておこう。ゲールさん、ありがとう。

■昼は、札幌通過、でラーメン。夜は小樽の寿司なのだ。
今回のテーマは、走り残した北海道南部海岸を走ること。これで、北海道の海岸沿いはほぼ走ったことになる。距離的にはたいしたことがないし、道も楽。でも、一日二日で走るだけ走ってもつまらない。このルートのいいことは「美味いもの」にある。一日に3食しか食べられないので、ゆっくり回らなくてはいけない。上陸一日目は、苫小牧から小樽まで。近い、近い。ルートはナビまかせ。途中で寄るところもセットして、言われるがままに走るだけ。苫小牧から、小樽ならどのルートもあまり変わらない。北海道の都心を抜ける道だから。それより途中で寄るところが大切。ちょうど昼頃、札幌通過を予定して、札幌・昼といえば、ラーメンを食べることにした。札幌のラーメン屋さん、いっぱいありすぎて何処がいいのか分からない。インターネットで調べてもサイト毎にお勧めが違う。そりゃそうだ。ラーメンほど好みの違う物も少ない。人によって違うのは当たり前。そこで、さっぱりしょうゆ系を検索し、ルートの途中で、札幌の市街地にも入らないですむラーメン屋「菅家」を今回の目的地にした。場所は札幌市白石区。札幌市街からは離れている。むしろ有り難い。
カーナビは、電話番号だけで、菅家の真ん前まで連れていってくれた。また、大きな看板が目立つので、すぐに分かった。ここは、こってりのとんこつ味噌が有名と言うが、もうひとつさっぱり醤油・塩の「岡本ラーメン」限定1日10食がある。これがターゲットなのだ。どうも、限定に弱い。店に入るなり、「いゃーあ、やっと見つけた。良かった良かった」などと店の人に言う。ヘルメットを持った姿を見て必ず「どこからですか?」と聞かれる。これが狙いなのだ。「東京です」と答えると、遠くからわざわざ来てくれた、という気持ちが店の人に起こり、とても親しく、親切になるのだ。インターネットで見つけたこと。限定が食べたかったこと、などを話すと、お店のご主人もニコニコして声を掛けてくれる。早速、岡本ラーメン醤油を注文。めでたくも10食に間に合ったらしい。

■これが、岡本ラーメン醤油。1日限定10食限り。さっぱりしていて美味い。麺も小細いが、腰がある。出汁の風味がどこか懐かしい。たっぷりの良なのに、さっと食べられて、後味もいい。岩海苔がまた、いい香を出している。 ■食後、満足げ。店の人が写真を撮っているのを嬉しそうに眺めていた。北海道、美味いものツアーの第一弾である。最初から、こんなに美味いと、次はどうなるか心配。いいねぇ、北海道は。

さて、ラーメンを食べたら、後は小樽を目指すばかり。なるべく早く着いて、小樽の街をウロウロしたい。一昨年の旅で小樽は来ているので、町の様子は分かっている。一番の観光名所「小樽運河」も見た。しかし、今回は、前回夕食を食べた後に見つけた寿司屋通りに行きたいのだ。小樽と言えば、寿司。寿司と言えば、小樽なのだ。今回小樽で寿司を食べようと決めてから、ずいぶん詳しく調べた。といってもインターネットでだけなのだが、それでも、小樽の寿司屋事情はずいぶん分かってきた。なにしろ200軒以上のお寿司やさんがあるというのだから、何処に行けばいいのかさっぱり分からない。できれば、昔からやっていて、威勢のいいオヤジがいて、土地の物を出してくれて、安くて美味いところ。そんな店を求めて調べていると、なんと「キャッチ寿司」なるものが小樽では最近横行しているらしい。私のようなか弱く、何も知らない観光客に声を掛け、「美味しい寿司屋ならここだよ」と案内してくれるのだが、大して食べないのに何万円も取られるのだそうだ。また、最近は、完全に観光化しているため、大型の店舗が増え、観光バスで乗り付けるような寿司屋ばかりが大繁盛しているらしい。目の前で握るどころか、昼のうちに握って、観光客が来たらどっと出すらしい。そこが美味いかまずいかは別にして、どうも求めている寿司屋でないことは確かだ。そんなときとも良心的なサイトを見つけた。「小樽のお寿司情報」と言うページで、まさにうってつけだ。
ここでは、古くからやっていて、寿司と刺身しか出さず、小さな規模の店ばかりを紹介している。情報が古くなっているが、とても信頼性が高いと思い、この店の中から選ぶことにしたのだ。まず、同じ名前の「すし純」を探したが分からない。次に「清寿司」。これも分からず、ウロウロしていると「宝寿司」の目標のセブンイレブンがあり、行ってみることにした。細い路地を歩いて、「違うかなー」と思ったその時、「宝寿司」の看板が見えた。間口の小さな、ビルの中の店。これは、地元の人にしか分からないよ、とおもいながら、暖簾をくぐった。ちょっと不思議そうな顔で店の人から見られた物の「いゃあー、よかったやっと見つかった」といつもの手で店にはいる。「いらっしゃい」と声を掛けてくれたのは案外若いご主人。やっとニッコリしてくれた。

■「宝寿司」のご主人とたぶん奥様。先代の跡を継ぎ「宝寿司」を守っていらっしゃる。なかなかの腕前で、出していただいた物はどれも美味しかった。 ■まずはじめにお刺身。東京ではなかなか珍しい物ばかり。しかもサイズがどれも大きい。夏より、冬の方が寿司は美味しいと言っていただいたが、冬はバイクでは来られない。
■寿司。素晴らしい顔ぶれだ。北海道でなければここまでバラェティは豊かにならない。サーモン、かに、アワビ。北のおいしさだ。 ■これが名物のあなご。北海道というわけではないが、地元の人が好んでいるそうだ。そうか、たまには違う物も食べたいもんな。
■寿司屋通り。この通りの両側に寿司屋が並ぶ。ほとんどは大型店。カウンターでのんびりという風情はない。 ■小樽と言えば、小樽運河。ほんの短い運河だが、今では観光の中心地。お土産もいっぱい。若い人たちが支えている。

■小樽から、瀬棚へ。3日目も、美味しい物づくし。
小樽は、比較的駅に近いビジネスホテルを予約してあった。「小樽グリーンホテル」で、一泊3500円だ。寝るだけであれば十分すぎる。風呂も狭いが付いているし、バイクも安心して停められる駐車場があった。楽な日程なので、ゆっくりと目を覚まし、ゆっくりと準備して出発だ。3日目は、小樽から積丹半島を回って、瀬棚を目指す。250キロほどの行程だ。一昨年行き損ねた積丹岬を今回は行ってみる。神威岬の近くに「ウニ丼」の店があると言うことで、昼飯はそこだ。小樽の寿司屋では、あえてウニを食べなかったのも理由がある。ウニは、今日、たらふく食べるのである。
北海道産のウニには、2種類あるそうで、「むらさきウニ」と「ばふんウニ」。そして何といってもおいしいのか、「ばふんウニ」だそうで、しかも取れたてで、加工していないウニはやはり産地の積丹でしか食べられないそうだ。8月いっぱいがウニ漁が許されている期間で、9月からは漁は禁止だ。果たして9月になった今、まだウニ丼が食べられるのか。まず電話で確認。かろうじてあった店が、2番目に有名な「うしお食堂」。今日までは食べられるという。一番目の「なぎさ食堂」は、昨日までで終わりましたということだった。「蝦夷バフンウニ」、その名前は何度か聞いたことがある。赤みがかった色。コロリと形のいい姿。食べると甘みが強く、ウニ独特の香りが口いっぱいに拡がる。ウニ全体の漁獲量の1割にも満たないほどしか取れないそうで、はたして東京で食べた物は本物かどうかも疑わしい。その点産地で食べれば間違いない。ウニ丼めざして、ゴーゴーゴーなのだ。
小樽を出て、海岸線を走り続けると自然に積丹半島に入ってゆく。途中積丹岬を通らず短絡するのが国道で、前回はその道を行ったため積丹岬には行けなかった。ちょうど神威岬を見た直後だったので、まあいいやと先を急いだのだった。今回はきちんと積丹岬にも行ってみる。短絡路をはずれ右に曲がるとさらに海岸線の道が続く。「右、積丹岬」の看板を曲がり、かなり急な坂道を上っていくと積丹岬の駐車場にはいる。山の途中と言ったところで、何処に岬があるのと探してしまう。ここで降りて、後は歩くのだ。

■積丹岬の展望箇所。トンネルをくぐるとすぐに現れる。このあたりは入り組んでいて、海岸の広い展望はない。すべて歩く。でもやめた。 ■積丹岬の灯台。ここからは、広く見渡せる。でもすべてではない。統べてみるには1時間ほど歩く。で、やめた。

さて、いよいよ本日のメインイベント、「うしお食堂」のウニ丼をめざす。ここもまた電話番号だけでカーナビが場所を見つけてくれた。神威岬の手前にある。積丹岬からは20キロほどの場所だ。カーナビの案内は信用しているのだが、こうも簡単に分かってしまうと何だかあっけない。「いゃーやっとみつかった。」といういつもの台詞が自分には白々しくなってしまう。それでも、迷うよりいい。まだかなあ、通り過ぎたのかなあと不安を抱いて走るよりいい。なにしろ、後10キロ、後5キロと教えてくれるのだから、不安が全くないのだ。「うしお食堂」もすぐに分かった。国道に戻ってしばらく走り、神威岬がもうすぐだぞというところにある。国道沿いにちょっと入ったドライブインといった感じ。知らないで来たらなんだかレストランというより、お土産屋と思うだろう。とてもとても美味しいウニ丼があるなんて思えない。奥ゆかしいのか、宣伝が下手なのか、店に入ってもウニ丼の説明は目立たない。「今朝ほど電話した物ですが、ウニ丼ありますよねぇ」ともう一度尋ねた。あるある。赤ウニの方を丼で、と注文。待つこと10分ほどでお目当てが現れた。

どうだ!!!!といわんばかりの迫力で、「蝦夷バフンウニ」の丼が登場した。紅白歌合戦の小林幸子より豪華だ。見るだけで圧倒されるウニの量なのだ。しかも全部バフンウニ。ご飯が見えないほどずっしり引き詰められている。このお店に来て良かった。北海道に来て良かった。生きていて良かった。生まれてきて良かった。と心の底から感じる一瞬だ。何だかもったいなくて食べ始められない。この美しいフォルムが崩れてしまうのだ。と思うのもつかの間、パクパク食べ始めると、うーーーん、確かに甘み。確かに香りなのである。ウニのエキスがたっぷりつまったまさにウニの神様みたいな味なのだ。実は、ご飯を食べずにウニだけ食べてみた。醤油をほんの少し漬けて、口の中にパックリ。とてもとても美味。でも味が濃すぎるくらい。ご飯とのマッチングがベストということがよく分かる。しかも温かいご飯。これが一番の食べ方だ。食べ物でもこんなに幸せが味わえる。東京でいくら高い物を食べても、いくら珍しい物を食べても、こんな風に美味しいとは感じない。旅と旅先の空気と、人の手を入れない自然のままの味が、やはり美味いのだ。最後の一粒まで、黄色く染まったご飯を食べ終えて、思わず神様にお礼を言いたくなった。・・・・ありがとうウニ神様。

満足の3乗くらいの気持ちを感じながら、近くの神威岬に立ち寄った。ここには、3度目だ。広く開けた海の景色は何度見ても気持ちいい。天気もそこそこ良かったので、しばらく休憩をして、ウニ丼の喜びを味わった。この広い海の底にウニがいる。バフンウニたち、頑張って成長、繁殖してくれ。また来年食べに来るぞーとわけの分からない誓いを神威岬に誓ったのだ。
神威岬からは、瀬棚まで走る。3時か4時には到着だ。瀬棚は、別に何があるわけでもない。小樽から函館までの海岸線で、どこか泊まるところを探していたらたまたま「マリン倶楽部」というペンションを見つけ、「漁師の宿」というキャッチフレーズに、ここだと決めただけだ。そしてよく調べるとここでも、ウニが夕食のオプションで付いている。電話で予約したときに「ウニお願いします」と言ってあるのだ。夕食でもウニが食べられるのだ。
神威岬から瀬棚までは、何処も海岸線だ。すっかり道が良くなっていて、走りやすい。入り組んだ部分はトンネルになっていて、ちょっと寂しい。一昨年より海との距離が開いた感じだが、そこでの生活を考えれば、道はスムースな方がいいに決まっている。観光客のことばかり考えて入られないのだろう。良くなった道をどんどん走る。信号など30分に一度もないので、ほとんどゆっくり走る高速道路のような感じだ。北海道の道は、冬を基準に考えて設計されているので、夏の間は無駄に広く、安全性が高い。初心者でもバイクで安心して走れる道になるのだ。結局瀬棚には3時過ぎには到着して、荷物を下ろし、部屋に入ってまずくつろいだ。比較的広い風呂も自由に入れて、すっかりご機嫌オヤジだ。本当に小さな町で、端から端まで歩けるほど。ただここからは奥尻に向けてのフェリーが出ている。それだけで、なんとなくみんな知っている町になっている。海岸におかしな岩が3つたっているのが町の名物だ。時間があったのでフラフラ歩いた。30分も歩くと元の場所に戻っていた。
さて、夕食だ。ここでは、漁師の家庭料理を食べさせてくれる。今日採れた海の幸をご主人が手作りで料理する。なんか嬉しいではないか。食事の前からビールを飲んでいたせいか、この写真はない。ただ、オプションで頼んでおいたウニだけはちゃんとカメラに収めた。殻付きのウニは、まだとげとげが動いていて、まさにいま解体されたばかりだった。ひとめで白ウニ、つまりムラサキウニだと分かる。昼間食べたバフンウニとは全く違う。しかし、醤油を漬けて食べるとさっぱりした感じで、刺身ではムラサキウニの勝ちだった。すでにウニ評論家になっていた。

■予約した漁師の宿「マリン倶楽部」。なかなか綺麗な建物で、設備もいい。これだけの宿は、この辺りではここだけ。食堂で食べる手料理はご主人作。 ■瀬棚名物、三本杉岩。二本は写っていたけど、3本目が自分の影になった。セルフタイマーは難しい。でも隠れている岩もほかと大体同じ。

■またまたウニ。今度は殻付きのムラサキウニ。刺身で食べるならこっちの方が、あっさり系で美味しい。

「北が呼んでいる2」に続く。